アイルランドだからこそ学べること

アイルランドの風景(イメージ画像)

Dublin City University

Humanity and Social Science専攻 S.K. さん

都内高校卒業

2014年3月 都内の私立高校卒業
2014年4月 国内大学入学
2015年6月 アイルランドの大学への留学を決意
2016年3月 Dublin City Universityで学ぶため渡航(日本の大学は休学)

Academic Year Programme(語学講座)を履修後、

Humanity and Social Scienceを専攻

2017年6月 Dublin City Universityでのプログラムを終え帰国

 

留学の動機や海外の大学に留学・聴講しようと思った理由やきっかけは何ですか?

  高校時代の恩師と父親から、大学生活のうち1年間は海外で暮らし、異文化を肌で感じたほうが良いというアドバイスを受けていたことがきっかけで、入学当初から海外留学に関心をもっていました。また、留学計画を練る段階で、語学以外にも何かを学ぶために、大学の授業を受けてみたいと思っていました。

 渡航先をアイルランドに決めた理由は、自分の好きな映画の音楽の源流がケルト音楽であるということを知り、かねてからケルト文化や音楽に関心をもっていたためです。

 

英語力 留学前の英語力はどうでしたか?

 留学前のスコアは、IELTSで、4.0、TOEFL ITPだと450点くらいだったと思います。留学するまでは英語に苦手意識をもっていました。

 

英語力 留学前にはどんな英語の勉強をしましたか?

 留学前はIELTSの勉強を中心にしていました。まずは、文法を中学生レベルから総復習し、その後は当時一番親しくしていた大学の英語の先生にお願いし、1対1でILETSのWriting Taskの添削やSpeaking Taskの練習をしてもらいました。Writing やSpeakingの勉強には、当時所属していたサークルの外国人留学生も協力してくれました。リスニングは、インターネットで視聴できる英語のスピーチを見て勉強していました。

 

英語力 現地でどのように英語力を伸ばす工夫をされていますか?

 高校時代も大学に入ってからも、机に向かい参考書を広げて勉強することに苦手意識をもっていました。英語はかなり苦手な科目だったので、「どうやったら自分が楽しく英語を習得できるか?」を常に考えていました。

 具体的には、次のように、自分の好きなことを英語ですることで英語力を伸ばす工夫をしていました。①映画を字幕なし、または英語字幕で見る→ストーリーを理解できたか自分で説明する。②自分の好きな分野の洋書を読む(歴史物、ハリーポッターやウィッチャーといったファンタジーもの、ニュース雑誌)。③自分の考えたことを英語で書いてみる。 ④家事や炊事をしているときに英語を使う。 ⑤ゲームをするときもアニメを見るときも英語に切り替える。

 

英語以外に準備したことは何ですか?

   治安情報、家と学校の位置の確認、カード関係の準備はしました。外務省の治安情報と厚生省の感染症情報を確認して必要そうな項目(すり対策など)を調べました。

 

留学先の大学の専攻は何ですか?/大学と専攻を決めた理由を教えてください。

  大学では、Humanity and Social Scienceを専攻していました。受けていた授業は、異文化コミュニケーション、アイルランド関係(文化と社会・アイルランド文学など)、翻訳学です。これらの授業を各セメスターにそれぞれ2つずつ、合計5〜6の授業(前期6、後期5、授業数はその授業の取得単位数によって変化します)を受けていました。

  大学を決めた理由は、行きたい国を先に決めていたので、アイルランドの中でも、大学に個人の1年間留学プログラムがある学校を探しました。専攻は、日本で専攻していた文化・社会学系を選び、その中でも、授業を選ぶ際には「アイルランドだからこそ学べるもの」と「自分が興味あるもの」の二つの基準を作り選択をしました。

 

大学での授業の様子などを教えてください。語学コースとの違いを感じることはありますか?

   授業は、講義形式が多かったです。留学する前は、アメリカの『サンデルの白熱教室』のような、ディスカッションをしていく授業が多いと思っていたので、少し驚きました。ただ、日本の授業と比べて課題が多く、日本の授業の2~3倍のスピードで授業が進んでいました。また、グループで行うプレゼンテーションやレポートも多く、一番忙しい授業では、毎週異なるテーマについてプレゼンテーションをしました。

   語学コースと、大学の授業の違いは量より質で、外国人留学生必修の英語の授業は、既に基礎が分かっていることが前提で進んでいました。「アイデンティティ」に関する授業は日本の大学で専攻をしておらず、英語の基礎力がなかったら授業についていけなかったのではないかと思います。

 

勉強時間はどのような感じでしょうか。

  毎日、英語の勉強を1~2時間、その他の科目の勉強を数時間行っていました。課題が、「来週genderについてのプレゼンをしてください」や「次回までに村上春樹の『ノルウェイの森』の見開き4ページ分を翻訳してきてください」など、日本の大学より多くの課題が出されていたため、次回までの課題というものをこなすことだけでも必死でした。

 

大学生活の楽しいところと大変なところなど教えてください。/ 日本の大学との違いはありましたか?

   大学生活の楽しいところは、他国出身の友達が増えることです。ヨーロッパの各国に遊びに行ったときには、友達の家に泊めてもらったり、その町の穴場の観光地を紹介してもらったりもしました。前述した通り、授業の課題でもグループ活動が多かったので、友達と話すのが一番楽しかったです。

  大変なところはホストファミリーから出る際に、自分で新しい引っ越し先のシェアハウスを探し契約したのですが、その家探しが難しかったです。オンラインで探すのですが、候補はたくさんでてくるのに契約依頼のメールを送っても返事をくれるのはごく稀で、25件くらいメールを送って返事がきたのは3件程度でした。

 

課題の量

  課題の量は前述した通りです。母国語でない大変さを強く感じました。課題文献もプレゼンテーションをまとめる時に読む資料も、日本語で読んだ時の10分の1も理解できず、数ページを自分の言葉でまとめられるレベルに理解するのに通常の3倍の時間がかかりました。

 

授業のスピード

 進度が早く、日本の大学の社会学入門の授業で2〜3時間使って解説する内容を1時間くらいで解説します。もちろん、先生がシラバスであげている参考文献を生徒が事前に読んでいる前提で授業は進められます。それから最近の先行研究の話題も入ってきます。日本ではようやく邦訳されてきたかな、という話題を踏み込んで議論していくので、ヨーロッパでどんなことが話題になっているか・議論の対象になっているのかを知ることができて楽しいです。反面、事前の知識がないので、理解するのがとても大変です。

 

授業がある日以外はどのように過ごしていますか? 

  アイリッシュフィドルの練習をした後に、映画館で映画を見ることが多かったです。雨の日は家で洋書を読んだり、インターネットで海外ドラマを見たりしていました。友人に誘われてビリヤードやパブに出かけることもありました。

 

将来の希望や進路を教えてください。

 明確なものは見えていません。中学生のころからサークルやイベントで映画や舞台の物語を作る創作関連の活動に多く参加してきたので、一度自分で物語を最後まで書き上げてみたいという希望はありますが、仕事につながるかは分かりません。

 仕事として最近思い始めている希望は、日本だけでなく海外を飛び回るような仕事や、日本文化を広めていきたいという思いの二つがあります。それらができる仕事に就きたいと考えていますが、今はまだ業界を絞ってはいません。就活までまだ少し時間があるので様々な業界を広く見て、それを少しずつ狭めながら、自分がやりたいという仕事を探してみたいです。

 

留学を検討している方へアドバイスやメッセージ

 経験者にとっては当然かもしれないですが、私にとっての留学は決してキラキラしたものでも楽しいものでもありませんでした。言語が違い、文化が違い、価値観が違い、自然環境も何もかもが違う中で、自分の常識は崩されて、自分の勉強不足を思い知らされて、悩み、迷って、苦しんでいたことの方が多かったように感じます。

 しかし、そんな状況で知り合った友人たちと過ごした時間や議論したこと、考えたことや感じたことというのは、帰ってきても忘れられない輝いたものになります。そして、それらはきっとその後の自分の行動の軸になると思っています。

 海外留学した際に、こうしたらもっとうまくいくのではないかと個人的に思っていることをあげると、「積極的に行動すること」、「気になったらやってみる」 ことです。

 新しいことを始める時には不安がつきものですが、気になったことや興味をもったことは「嫌だと思ったらやめよう」くらいの軽い気持ちでとりあえずやってみるといいと思います。実際にやってみないとそれがいいのか悪いのか、得意なのか苦手なのかも分からないと思うからです。実際に行動してみると自分の新しい一面も分かり、新しい友人もでき、その経験談で初対面の人と話がはずむこともあります。一石三鳥です。

 その他に大切だと思う要素は 「人を頼ること」、 「頼られた時はしっかり応えること」です。頼り過ぎはいけないのですが、現地で困ったことがあった時に頼れる人を見つけることはもちろん、悩みや迷いを相談できる友人、本音を話せる人にはきちんと頼った方がいいと思います。自分一人では、何かトラブルになったときにパニックになります。また、悩んだときも堂々巡りで終わり、視野狭窄に陥りやすいと思います。自分が考えていることに、真剣に向き合ってくれる友人がいること、自分の決断を応援してくれる友人がいること。こういった友人が、世界のどこかに1人でもいることが分かっているだけでも、頼りになる仲間がいるような心強さを感じると思います。同じように自分が留学生などに頼られた時は、できる限り応えるようにすることも必要だと思います。

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