学びたいことを突き詰めて自信をもってチャレンジすれば、チャンスは掴めます
留学先:ジェームズ・クック大学
公立高校卒業 J.M.さん
2021年3月 | 福岡県立修猷館高等学校を卒業 |
2022年2月 | ジェームズ・クック大学入学 理学コース、水産養殖科学&技術専攻 |
2023年2月 | 同大学応用理学コースに編入、専攻は同上 現在在学中 2025 年は同コース・優等学位プログラムに進む予定 |
海外の大学に留学しようと思ったきっかけは?
日本で通っていた高校は、進学校でした。国内で最高レベルの大学を目指していましたが、結果は不合格。合格まであと一歩だったため、浪人してもう1年頑張れば合格できるとは思いましたが、受験一色になる中で、「このまま第一志望校に入学するのが、自分にとって一番良い選択なのだろうか」と思い始めました。
もう一度大学進学について考える中で、子供の頃から魚が好きだったという思いや、養殖を学びたいという気持ちが膨らみ、また小学校6 年生のときに、担任の先生から「日本に留まるような人間じゃない」と言われたことが心に残っていたこともあり、国内外の大学を改めて探し始めました。
ジェームズ・クック大学を選んだ理由
なるべく正確な情報を得られるよう、大学のWeb サイトを読み込んで比較し、養殖業の根本的な課題の解決に取り組んでいると思えたのが、この大学でした。海外経験は旅行も含めてまったくなかったので不安はありましたが、オーストラリアに対しては、気候が穏やかで、治安面の問題も少ないイメージがありました。
英語への取り組み
ジェームズ・クック大学への出願を決めてすぐにIELTS の問題集を買い、試験を受けました。大学受験対策はしていたし、英語は得意科目なのでスコアも良かったのですが、スピーキングだけは入学基準以下でした。スピーキングのスコアを上げるためオンライン英会話で対策をし、基準を満たすことができました。その後も英語学習は継続し、英字新聞を読んだり、英語のラジオを聴いたり、生物関連の専門用語の語彙などの勉強もしました。専門用語は大学入学後の勉強にも役立っています。
専攻したコースの内容
高校の成績証明書などを含めた書類選考の結果、学部課程に直接入学できることが決まりました。専攻した養殖学とは、水槽や生け簀での水産生物の繁殖・飼育・収穫に着目した学問です。餌の原料、遺伝子情報を用いた選抜育種や水産生物の疾患についても学びます。養殖はそれほど歴史が長くないためまだ研究し尽くされておらず、学べば学ぶだけやりがいがあると感じます。
1年目は生物と生化学の基礎的な内容を学びました。2年目からは専門性がぐっと増します。座学はもちろん、キャンパス内や近隣の養殖場を訪問して、実際に魚に触れ、自分で作った餌をやる授業等もありました。実習が多いのもこの大学の良いところです。
興味深い授業は?
養殖において40%の魚を病気等で廃棄しなければならないという事実を細菌性疾患の授業で知り、養殖魚の疾患について、今最も興味を抱いています。例えばエビの一種のブラックタイガーは、屋外で養殖されます。屋外では虫など外的要因から病気をうつされる可能性もあるため、高いリスクがあります。現在は病気のスクリーニングのために多額のコストがかかり、エビにもダメージを与えてしまう検査方法が行われていますが、その改善のため、エビのいる水を採取・解析してそこに含まれる遺伝子情報(eDNA)から病原体を見つけようという方法が研究されています。学ぶほどに面白くなり、今はこの分野の研究チームで助手をしています。
大学生活は?
1年次から2年弱、寮に滞在していました。2名のオーストラリア人のルームメイトがいて、それぞれ違う専攻の学生です。共に暮らし、彼らとは今でも兄弟のような間柄です。
寮対抗の様々なスポーツイベントが企画され、私はバスケットの試合に参加し、大勢の知人ができ、盛り上がりました。寮は色々な人と出会える場所でもあります。
また思いがけず地元の人が集う囲碁クラブがあり、囲碁が趣味だったのですぐに入会しました。囲碁のオーストラリア全国大会にも出場し、活動を楽しんでいます。
大学留学で得たものは?
当たり前ですが、英語力は大きく伸びました。1年の時は「どこから来たの」とよく聞かれていましたが、最近は「オーストラリア人かと思っていた」と言われることもあり、大きな自信に繋がりました。また、人生観も変わりました。日本にいる頃とオーストラリアにいる今では「成功する」ということへの価値観が変わったと思います。多角的に物事を見る力が身に付いたのかもしれません。
また、この大学はやりたいと思う学生に対してチャンスを与えてくれるため、失敗してもいいからやってみよう、という積極的なマインドになったことが大きな違いだと思います。日本にいる時は他人の評価を気にし過ぎていたこともありましたが、気づいたら自分の中でそれが無くなっていました。
次のステップとしては、優等学位プログラムで良い成績をとると、修士号過程を経ずに博士課程に進めるというシステムがあり、それにチャレンジしようと思います。修士課程を1年間で修めるような濃い内容で、非常にハードですが、忙しい生活をしても本当に研究職を目指したいか、自問しながら挑戦する時間にしたいと思います。
これから海外大学等への進学を検討する高校生へのメッセージ
私はずっと好きなものを学びたいというモチベーションでやって来ました。好きでないとここまで出来ませんし、またその好きなことをやれているのは、両親と、そして周りの先生方のおかげです。やりたいことをやらせてもらうのは当然なのではなく、「感謝」が絶対に必要です。
そして、やるのなら突き詰めることをおすすめします。中途半端にやれば、チャンスが逃げていくこともあるでしょう。興味を持ったことに一生懸命取り組み、自信をもって突き詰め、人生の好機を掴んでください。