自分のやりたいことを突き詰めて考え 海外で力試しをしたいと思った

留学先:University College London(UCL)(イギリス)

都立国際高校卒業 S.K.さん

2023年3月 都立国際高校(国際バカロレアコース)を卒業
2023年9月 ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)入学
Science and Engineering for Social Change学部
現在在学中

 

海外の大学に留学しようと思ったきっかけは??

高校以外はずっと海外で過ごしました。メキシコで生まれ、親の転勤のためその後アメリカに6年、香港に6年、ドイツに3年滞在しました。言語圏も違いましたが、どの国でも英語が話せたらなんとかなる、という感じでした。そのため、日本語と英語は同じくらい話せます。
日本の高校は、国際バカロレアコースがある都立国際高校に通いました。このコースは、もともと海外の大学進学を見据えたコースで、日本語科目以外は英語で行われます。進路を考えた時、いつでも日本に戻れるので、海外で研鑽したいという気持ちは強かったです。
また世界ランキングなどを見ると、上位を海外の大学が占めていたこと、自分としても海外が身近だったことから、自然と海外を選んだということもあります。

 

奨学金について

JASSO(日本学生支援機構)の学部学位取得型に合格し、入学時から卒業までの受給が決定しました。
応募の際、エッセイを書く必要があり、やりたいことを改めて具体的に考えました。興味のあるテーマが複数ある中で、何が自分にとって最適な選択かを考えることができ、それを明確にしたことが、結果としてとても良かったと思います。

 

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)を選んだ理由

選考プロセスとしてイギリスは高校の成績と共通のエッセイのみで出願でき、アメリカに比べてやるべきことが絞れるため、イギリスの大学にしようと決めました。
またアメリカは卒業まで4年間かかる反面、イギリスは3年間で卒業できる、というのも大きな理由です。高校の国際バカロレアコースは、イギリスで認定されているため、現地の学生と同じように3年間で卒業できます※1。奨学金の受給も決まり、費用的な面からもイギリスにしました。
イギリスの大学の出願システムを通じて3校出願し、UCLはその合格した中で一番良いと思った大学です。
ひとつのエッセイで、すべての大学の審査がされるのですが※2、私は太陽光パネルと、ある素材について詳しく調べ、それらに将来的に関わり、技術面と政策面、両方で社会の役に立ちたいと、かなり明確なプランを入れた内容を書きました。一般的な内容ではないけれど、そのために学びたいことも明確だったので、評価された部分があったのかもしれません。
※1 日本の高校生は、一般的には約1年間のファウンデーションコース+大学3年間=4年間でイギリスの大学を卒業します。
※2 イギリスの大学への出願エッセイは基本的にひとつですが、学部により追加の質問等が送られることがあります。

 

専攻したコースの内容

専攻したScience and Engineering for Social Change(社会変革のための科学と工学)コースは、地理、数学、物理、その他の知識を生かして学んでいく科目です。新設されたコースで、自分達が一期生です。
大学がキャンパスを新しく建て、そこで行われる初めてのコースという意味でも魅力的でした。
一期生のため15人という少人数でスタートしています。そのため教授との距離が近く、コミュニケーションがとりやすいし、クラス全体の対話という面でもいいな、と思っていました。高校のクラスが20人程度だったので、少人数クラスが私には合っていると感じていたし、UCLは大きな大学で、レクチャーホールでは200人規模の講義などが行われます。その中で15人のコースというのはかなり珍しい存在です。
試験はなくて、100%コースワーク※1です。2週間に1度程度プレゼンテーションやレポートの提出があり、ディスカッションやグループワークも相当多いため、自分やクラスメイトとのタイムマネジメントも重要です。
クラスはインターナショナルで、中国人が多く、その他タイ、ナイジェリア、フランス、スペイン、ブルガリア、カザフスタン、イタリア、イギリス人などがいます。
※1 コースで定められている体系的なカリキュラムを履修し、規定の単位を修める履修方法です。

 

印象的な授業は?

今年は公共政策に関する授業がメインになっていました。中でも1学期目にあったソサエティ・システム・チェンジという授業は、面白かったです。これは、新しい技術が出たときに、その技術者とユーザーと市場と政府とが、どのような関係で受容し定着・発展させていくか、などを学ぶものです。例としてはEV(電気自動車)や再生エネルギーなどが挙げられ、COP28(気候変動枠組条約締約国会議)に倣った、模擬COPをやったりしました。
1年次に地域社会の問題を、企業関係者と協力し解決していくプロセスなどを学び、2年次にはロンドン市内でフィールドワークを行う計画が立てられているので、楽しみにしています。
3年次には、材料工学など技術的な選択科目をとる予定です。

 

大学生活は?

ソサエティというクラブ活動がとても充実しています。テニスなどの運動系や、文化系などいろいろなものがあり、UCLの生徒のみが参加します。新学期にはどのソサエティにも参加できる期間が約2週間あり、興味のあるところに自由に参加し、好きなところが決まったら所属を決定します。楽しい出会いがたくさんあります。
私は新学期にアートソサエティに行き、気の合う人達に出会えました。特に仲良くなった子は1学期しかいない交換留学生でしたが、その間に小旅行したりスチューデントバーに出かけたりと交流できました。
ジャパンソサエティで、日本人との出会いもあります。
出かけなかったら出会いはないし、充実させるかどうかは自分次第です。逆に、自分から行動しないと何も得られません。

 

業界の一線で活躍する教授陣も

教授陣が素晴らしいことも、UCLの特徴です。Webサイトで教授の名前を検索すると「こんなことを手掛けている人なのか」と驚くことも度々あります。第一線で活躍している人も多く、授業が終わったあと、「今日はこれから会議で、2時間後にアメリカへ行く」と出かけて行ったりします。業界で活躍し、教育の場に戻ってきた人もいるし、経験豊富な教授陣に恵まれていると日々感じています。
そのような授業を受け、クラスメイトから有名になる人も出そうだ、という予感もあります。
まだ先のことは決めていないけれど、将来的には大学院に進み、研究を深めていくか、社会経験を積んで資金を少し蓄えてから大学院にいくことを検討したりしています。

 

これから海外大学等への進学を検討する高校生へのメッセージ

大事なのは、自分が何をしたいかを立ち止まり、考えるプロセスです。
大学留学は大変だし、お金もかかります。好きではないことをやって後悔するより、今までの経験を見つめ直して考えて、「これを成し遂げたい」というビジョンを見つけることが大切です。そこから、そもそも自分が海外に行くのがいいのだろうか?と考えるなど、それぞれの場面で考察すると、一歩ずつ道が開けるのだと思います。自分で納得して、選んでいることなら頑張れます。
絶対に大学から、ということではなくても、交換留学などもあるし、海外の大学院に行く道もあるので、必ずしも急がなくても、自分が納得できる時に留学すると良いと思います。

 

 

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