多様な人が住むニューヨークで自信と責任感がある自分に変わった

留学先:Fashion Institute of Technology, State University of New York (FIT, SUNY)(アメリカ)

私立高等学校卒業 N.K.さん

2017年3月 日本の高校を卒業
2018年8月 オレンジ・コースト・カレッジ(OCC)入学
2020年5月 オレンジ・コースト・カレッジ卒業
その後2年間日本でアルバイト
2022年8月 ニューヨーク州立大学ファッション工科大学(FIT, SUNY)
インターナショナルトレード&マーケティング学科に編入、
現在留学中

 

海外の大学に留学しようと思ったきっかけは?

きっかけは小学2年生の時に旅行で訪れたニューヨークでした。テレビ番組で見る海外のスターが大好きで、彼らの生活や文化に憧れていた気持ちに、そこで拍車がかかり、アメリカに住むと決意しました。
中学を卒業後、私立高校に入学しました。中学から高校の間、部活やクラスでの自己表現が難しく、またアメリカへの思いも強かったため、環境を変えるために、日本を出てみたいという気持ちが日に日に強くなりました。
最初の留学先でカリフォルニアを選んだのは、当時カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)に憧れを抱いていたからです。留学エージェントの方から「UCLAに編入したいなら州内でお勧めできる大学が多く、州内での編入の方が単位移行も確実」、と聞いたことが決め手でした。

 

2年制大学(OCC)での体験

私が通ったオレンジ・コースト・カレッジ(OCC)は日本人が多く、日本食レストランがたくさんあるほか日本食スーパーも数軒あり、治安は良いので、初めての留学先としてお勧めできると思います。
カリフォルニアでの生活は本当にのんびりしていて、リラックスした環境で勉強できたのは良かったです。英検2級Aを取得して入学し、最初の学期は苦労も多少あり、ホームシックも経験しましたが、在学中はずっと同じホームステイ先にお世話になりました。ホストマザーとは今でもSNSで連絡を取り合うくらい仲良しです。
その生活の中で一番忙しかったのは、夏休みの間に取ったMicroEconomicsのクラスでした。1学期分(約4ヵ月)の内容を1ヵ月集中で学ぶもので、クラスが始まって2週目でいきなり中間試験があり、毎日夜中の2時まで勉強しました。とてつもなくハードなカリキュラムでしたが、そこで一緒に協力し、何でも話せるような友達に出会えたことは、自分の中で大切なものとなりました。一番大変な学期でしたが、海外で様々なことを経験する価値を感じられた時間でした。

 

コロナで帰国、自分を見つめ直した日本での時間とは

OCCを卒業する年(2020年)にコロナが世界中で流行してしまい、楽しみだった卒業式をやむなくオンラインで終えることになりました。卒業後はFITに編入したいと思っていたけれど、その時はニューヨークに留学したいという気持ちが優先し、専攻を決めきれませんでした。母に相談したところ、「世界全体が止まっているから、今はじっくり何を学びたいか、どうしていきたいか考えてみたら?」と提案してもらったのを覚えています。
その時の自分は正直、何歳だからもう4年制大学に進学していなければならない、就職準備をした方がよい等、日本の世間一般と言われる意見を自分の気持ちよりも大事にしていたと思います。しかし、母のアドバイスを受け、知人が経営している近所の飲食店と地元の大型ショッピングモール内の靴屋でアルバイトをして、お金を貯めながら自分と向き合うことを始めました。

 

FIT(SUNY)を目指した理由は?

日本に帰国し1年が経った2021年の夏に、世の中にはどのような職業があって、どのような人が働いているのかを知るために、東京で開かれた東京キャリアフォーラムに参加しました。
私にとって初めての就活イベントでした。そこで受け取った数々の企業のパンフレットの中で総合商社にとても魅力を感じ、自分もこのパンフレットに載っている女性のように、語学力を活かしながら世界と関わる仕事をしたいと思ったのが、現在の専攻を決めた最初のきっかけです。
年齢的には、就活も終えて残りの大学生活を楽しむ年だったかもしれませんが、自分にとって大事な夢であり目標だったニューヨークでの留学もまだ実現できていなかったし、OCCでリベラルアーツを学んで目指す職種が見えた今、もっとその分野にフォーカスした勉強がしたいという思いから、その日のうちにずっと気になっていた FITで、どんな専攻があるのか調べ始めました。
ニューヨークで留学するならFITが良いと思っていた理由は、中学高校時代に自分を楽しい気持ちにさせてくれたのはファッション雑誌であったことや、ニューヨーク市内でファッションを学べる学校の中では学費が比較的安く、現実的だったからです。

 

4年制大学への出願時に専攻を決定

アメリカのミュージカル・ドラマを見ていた小さい頃から、なんとなく将来はファッションやアート、英語など、私の中で特別に感じるものとはずっと関わっていたいと思っていました。
2年制大学でリベラルアーツを専攻することは、いろいろな授業を満遍なく取れるので、自分がどうしていきたいかを見極めたかったり、様々な分野や職業に興味があったりする場合、とてもお勧めです。私のように2年制でリベラルアーツを専攻し、編入先への出願時に専攻を決める留学生は多かったと思います。
専攻を決めたインターナショナルトレード&マーケティングは、主に国際的な物流、貿易、マーケティングの分野をファッション業界と関連させながら学びます。

 

大学編入する際のエッセイ対策は?

エッセイは、FITに当時ニットウェア専攻で在学していた一つ年上の日本人の方とSNSを通じて知り合い、協力をお願いしました。彼女にアドバイスをたくさんもらい何度も書き直しました。自分とは違う視点からエッセイを読んでもらえたので、第三者に見てもらうのはものすごく大事だと思います。
OCCの時は留学エージェントに出願準備をサポートして頂いたので、自分で準備したのはFITが初めてでした。一番焦り心配したのは、高校の成績表を出すプロセスでした。
日本の成績とアメリカの成績の基準は異なるので、WESという成績査定機関に提出したのですが、出願締切日がどんどん近づく中、日本から送った私の成績表を受け取ったという通知が一向に届かなかったのです。どれほどしっかり準備しても、アメリカの郵便側が届けてくれなかったら水の泡。あの頃は毎晩緊張で頭がいっぱいで、ある日大号泣したのですが、その翌朝、査定機関から受け取り完了の通知が届いてほっとしたのを覚えています。日本の郵便局に出してから1ヵ月以上経った、締切日まであと1週間のことでした。改めて日本の郵便システムの時間に対する厳しさ、正確さは有難いものだと気付きました。

 

FITの特徴や印象的な授業は?

FITはファッションやアートの分野に特化した大学というのもあって学生も教授もファッションが好きな人が多く、自身を自由に表現するカラフルな雰囲気が魅力だと思います。
キャリアを重視している学生が多く、インターンシップや、留学生ではOPT(卒業後に専攻を生かして働ける期間)を視野に入れている人がカリフォルニアにいた頃と比べて多いように感じます。インターン先はハイブランドのメーカーなど、ニューヨークに位置する学校環境を生かせるものが多くあります。
「インターナショナルトレード&マーケティング学科」は、固い学科に聞こえるかもしれませんが、物流や貿易に関するクラスでは繊維商社の設定でプレゼンテーションをしたり、ファッション業界が生み出す環境問題の深刻さについてディスカッションをしたりするなど、ファッション業界につながる内容が多くあります。実際に現場で働いた経験のある教授が教えてくださるので、楽しく興味深く学べます。

 

ニューヨークで学ぶということ

ニューヨークには多様な人が生活しています。街を歩いていると世界が抱える問題(貧困や環境問題など)、社会情勢を丸ごと見て知ることができ、厳しい現実世界なのに、嫌いになれない魅力がたくさん溢れた場所だと思います。
ニューヨークに来るまで、私は無意識に多くのことに偏見をもっていたと思います。しかし日々彼らを見ていると、価値観や生まれ育った場所や言語が違うだけで、日本人もアメリカ人も関係なく、同じ人間であることに変わりはないことに気付きました。
留学前、私は内向的で周りの目をすごく気にしていたし、自己肯定感も低く、毎日を無駄に過ごしがちでした。ニューヨークは良くも悪くも、誰も全く人の目を気にしないし、気にかけないので、何者にでもなれるのです。
私は自分を変えるため、成長するために留学の経験が必要でした。今は自分に対して自信をもっているし、その分行動への責任感ももてるようになりました。そう変わってから出会う新たな友人、また、変わる前から見守ってくれた家族や昔からの友人がいることは、私にとって本当に宝物です。何事も自分次第だと、この環境のおかげで知ることができました。

 

これから海外大学等への進学を検討する高校生へのメッセージ

日本を外から見ることで、気付けることはたくさんあります。
高校生の頃、私は日本や、日本にいる自分が好きではありませんでした。しかし、いざ海外で生活すると、日本の素敵な部分や自分がいた環境の有難さ、どれだけ周りに甘えていたかに気付くことができました。
留学先で出会った友達と話していると、年齢や進路に関する強い固定観念があることに改めて気付かされることがあります。皆がそれぞれの時間軸で生きて良いと思います。どんなに仲の良い親友でも家族でも時間軸は異なり、あなたにはあなたの一番良いタイミングが絶対にあります。
アメリカではギャップイヤー(大学入学前・在学中・卒業後に、ボランティアなど社会活動を行うために大学が与える猶予期間)はもはや当たり前ですし、休学をしても全く問題ないと思います。皆さんの人生なので、時間の使い方も将来も、全て自分が考え、自分で選んで決めて、進んで大丈夫です!
遅すぎることは何もありません。人生は一度きりです。応援しています!

 

 

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